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♪ Cerezo rosa ♪
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第八話

ネズミ一匹

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 「泰山鳴動ネズミ一匹」のことをスペイン語では「わずかなクルミで大音響」と言います。

 封鎖を解いてもらうには、これまで人々が通って自然に出来上がった道を塞いでいる二部屋と、苦心の傑作浄化槽を潰すことを覚悟していたのですが、3週間の擦った揉んだの挙げ句、驚いたことに、背丈程の潅木を一本切るだけで治まりました。
 終わってみればあの騒ぎはなんだったんだろうって感じですけど、C君と元村長が町役場に文句をつけたり、私のゴルフ仲間の弁護士に助けを求めたら、町役場の方に理が有ると諭され、それじゃぁと署名運動を始めたり、そこへ村長が乗り込んで来て馬鹿な真似は止めろとC君と大喧嘩になったり、、、と、結局は近辺の地主の会合に諮られることになりました。 そこで、いままでの道を塞ぐ代わりに反対側に別の道を提供するという提案をしましたが、賛成してくれたのは、ほんの僅かでした。

 考えてみる迄もなく、何十年、何百年に亘り、一文も払わずに利用できていた道が、通れなくなっても良いなんて人は、私と同じような土地を持つ人か、全く無関係なひとだけで旗色は悪くなる一方です。 じゃ採決に入るかってところで、何と反対の急先鋒だった村長が、今迄の道を通るにしても出来かかってる建物を壊さない方法を考えようじゃないかと言い出しました。 日を改めて二日後現地に集合し、潅木を一本切ることと、浄化槽を車が通ってもいいよう補強することで妥協が成立しました。 他人の土地のどこを横切るかを衆議で決めるなんて、信じ難いでしょうが、共有農地の歴史の長いこの国では、当たり前のことのようです。 それにしても、下手すると3ヶ月はかかるかと覚悟していたのが、なんと3週間で解決するとはアスタマニャーナの国とは思えません。 もう一つメキシコの名誉のために言っておくと、そんな問題一万円も握らせば片付くという大方の勧めに従って、村の三役に人を介してトライしましたが、応じたのは一人だけでした。
ふと気がついてみると、当たりは新緑の季節になっていました。(2週間前にとった下の写真と比較してみて下さい
この木陰で昼寝出来る日を楽しみにまた頑張ります。


余談: 測 量

topografo_1
第一話でお話したように、私の土地の境界は、土地の古老が長靴のかかとで示してくれたものです。 でも、こういう問題になったからにはハッキリさせようと言うことになり、登記簿を管理している役所で一帯の地図を貰いました。 コンピューターで描かれた地図はGPSのデーター迄入った精密なものです。 それを持って頼みに行った測量士さんのところで、測距儀を見せてもらったら、日本の有名メーカーのデジタルのものでした。 そこ迄は、メキシコもなかなかのものだって感心したんですが、計測の基点になるポストがどこに有るのか分かりません。 街道沿いには必ず有るそうですが数キロも先で、そこから測ったら大変です。

 近くに必ず有る筈だって、C君が地元に人に聞きながら探した結果、それらしいものが見つかったって言うんで、見に行って絶句しました。 それは生きた立ち木で、幹に薄れてハッキリしない数字のようなものが描かれています。



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